会話で使う『必要十分条件』とは

2010年 02月 12日

    中学時代に数学で『必要十分条件』を皆学ぶのだが、如何せん 「ワケの解らない公式的なもの」 が先行(私がそうなので・・・)してしまい、数学学力の衰退にある今 「難しい」 などの理由で理解しようとしないのはとてもモッタイナイと思うので、会話で使用できるように分析しようと思う。

      まず条件の強さからいうと、

    • 十分条件(sufficient condition) ≧ 必要十分条件(necessary and sufficient condition) ≧ 必要条件(necessary condition)・・・※1
    • という関係が成り立つ。
      だが、一般的なイメージでは必要十分条件が一番厳しい条件に見えてしまう。

      条件に該当する対象の集合の広がりでいえば、

    • 十分条件必要十分条件必要条件・・・※2
    • という関係が成り立つ。
      条件が強いほど、当てはまるものが少なくなるという当然のことである。 しかし、多くは※1※2が混同しているように思える。

    • 例えば、推理モノの本や漫画を読み、犯人である条件を提示し 「これは犯人である必要十分条件だ」 などと言う場面、実際は 「十分条件である」といえば済む 。それに必要を付け加えることで、条件がより強まっていると考えている点である。※1で考えて見れば、条件として必要十分条件より厳しいあるいは強い条件は、十分条件である。
    • ここであえて 『必要十分条件』 を使いたい!と考える人もいるかもしれないが、 「犯人」 ならば 「証拠らしいもの」 ではなく、 「証拠がある」 のである。
      仮に 『犯行現場の指紋』 があるとする、この 『犯行現場の指紋』 は 「容疑者の指紋」となり、これで 「犯人」 が判れば 「指紋」 が 「十分条件」 になる。
      ここで 「容疑者の指紋」 は 「犯人 」 としての定義から必要条件とはならない。
      指紋 ⇒ 犯人
      とはならないからである。
      ヴェン図
      この例を取り上げると 『必要条件』 の集合が正しい時(十分ある時)に 『必要十分条件』 になってしまうと勘違いをする。
    • 命題の性質をしっかりと把握することができれば 『十分条件』 『必要十分条件』 『必要条件』 は使えるということになる。(これが難しい・・・)

    少しこんがらがってきたので、数学的な定義を眺めてみる。

      命題の中には 「A ならば B」 という形をしたものがある。 これを記号で A ⇒ B と書く。 命題 「A ⇒ B」 は 「もしも A であると仮定すればその時 B となる」 という意味である。この命題は A が偽の時には無条件で真であると定める。 A が真で B が偽であるとすれば、その時のみこの命題は偽である。 A をこの命題の前件(antecedent)、B のことを後件(succedent)という。 (記号論理学で例えれば Gödel の論文などでも, 論理学の記号として A ⇒ B のことを A ⊃ B と書くことがある。 例えば 「( 『A ならば B』 且つ A) ならば B」 というのを (A ⊃ B) ∧ A ⇒ B と書く)

      対偶(論理学)
      論理演算

    • 命題 「A ⇒ B」 が真である時 A を B である為の十分条件といい、B を A であるための必要条件という。
      十分条件 ⇒ 必要条件
    • 一般に A ⇒ B (これを順命題という) が真であっても、その逆命題 converse B ⇒ A が真であるとは限らない。 例えば x = 0 ⇒ xy = 0 ではあるが、逆に xy = 0 であるからといって、x = 0 とは限らない (例えば x = 1、y = 0)
    • もしも A ⇒ B と、B ⇒ A が共に真であるならば A と B は同値 equivalent であるといわれ、A ⇔ B と書かれる。 又、A と B は互いに他の必要十分条件(完全条件 complete condition という用語もあるが、あまり用いられない)
    • 又、A の否定 negation ¬A で表す。
      この時、A ⇒ B に対し、命題 ¬A ⇒ ¬B (A でないならば B でない) を元の命題の裏 converse of contrapositive という。
    • 逆と同様、命題が真であるからといって、その裏まで真とは限らない。
      しかし、逆の裏、即ち対偶 contraposition、contrapositive は必ず命題と真偽が一致する。

    A XNOR B
    A ⇔ B または ¬A ⇔ ¬B

    このようにして論理演算とベン図(オイラー図の方がわかりやすいかも)で見るとわかりやすい。

    以上から『必要十分条件』を会話で使うときは、ある特異的な条件を『必要十分条件』として話せばよいのである。
    例にすると、

    • 「土地持ち」、「金持ち」
      以上を2個持って 「富豪」 とすると
    • 「土地持ち」 は 「富豪」 である 『必要条件』
      「土地持ち」 「金持ち」 は 「富豪」 である 『必要十分条件』
      となる

    • ここに 「油田」 や 「鉱山」 などが付け加えられると
    • 「土地持ち」 「金持ち」 「油田持ち」 は 「富豪」 である 『十分条件』
      となるといえる。
      お金と土地を持っていないと油田は掘れない言い換えれば油田持ってるならばお金と土地は持っているだろうと言うイメージ。

    ven_XNOR2
    この図だと『土地持ち』と『金持ち』は同値(必要十分条件。『土地持ち』⇔『金持ち』)といえる。
    必要十分条件に拘(こだわる)ると対偶(外側の赤の部分。¬『土地持ち』⇔¬『金持ち』)も真に含まれる所に意識を置かねばならない。
    う~ん、ちょっと安直に見えるし、それぞれの条件を考えるとなんとも言えなくなってしまうが・・・

    【結論】
    今回必要十分条件を会話で使うというテーマで書いてみたが、 『必要十分条件』 を使うためには 『必要十分条件』 を満たす条件が必要であることが解った。
    また 『必要条件』 も 『必要十分条件』 になるための要因であることに近いと思われる。
    会話の中でのこういった表現の仕方だと 「現状」 を指すことが多いので、殆どが 『十分条件』 になることが多いと思われる。
    そもそもスカラーでは無いものに 『必要十分条件』 を充てがうのはとても厳しい事が解った・・・w

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